ウイルス
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特集:第61回日本ウイルス学会学術集会シンポジウム1「発癌ウイルス」
EBV関連リンパ腫における腫瘍由来分泌性小分子RNA役割
幸谷 愛
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2014 年 64 巻 1 号 p. 43-48

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抄録

 近年,大量の小分子RNAを内包する10-200nm程度の小胞,エクソソームが脚光を浴びている.内包物の小分子RNA,特にmicroRNA (miRNA)のプロファイルは,診断マーカーとして期待され,米国においては,NIHが,日本においえは,NEDOが,大型予算を配備,精力的な研究が行われている.更に最近,機能についても研究がすすみ,細胞間コミュニケーターとして重要な生体機能を担うことが明らかになってきた.エクソソーム単独で炎症を惹起でき,固形がんの転移に必須な現象である転移部位ニッチ形成に必須である等,興味深い知見が得られてきた.
 このような背景のもと,炎症性癌であるEBV関連リンパ腫における腫瘍由来分泌性小分子RNAの役割について検討した.
 その結果,腫瘍由来分泌性小分子RNAは単球/マクロファージ(Mo/M)によって,選択的に取り込まれ,その機能を腫瘍随伴マクロファージ(Tumor associated macrophage, TAM)様へ変化させ,腫瘍形成に極めて重要な働きを示すことを明らかとなった.

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© 2014 日本ウイルス学会
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