ウイルス
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総説
人工DNA結合タンパク質及び人工ヌクレアーゼのウイルス感染防御への応用:ウイルス耐病性植物および抗ウイルス剤の開発
世良 貴史
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2014 年 64 巻 2 号 p. 147-154

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抄録

 ウイルスは多種多様なものが存在し,ヒトおよび家畜・農作物に甚大な被害を与え続けているが,その被害は,抑制されるどころか,拡大の途をたどる一方である.そのため,効果的なウイルス対処法の開発が望まれている.ウイルスは体内に侵入しても増えなければ発病しないと考えられるので,我々はウイルスゲノム複製過程に着目し,人工タンパク質を用いて,ウイルス複製を阻害する手法を新たに開発した.まずは,ウイルスゲノムの複製の開始に必要な,ウイルス複製タンパク質のウイルスゲノム上の複製起点への結合を阻害できる人工DNA結合タンパク質を開発した.この遺伝子を植物個体および動物細胞に導入することにより,ウイルス複製を効果的に阻害し,植物個体ではウイルス耐病性を付与することに成功した.また,この人工タンパク質に細胞膜透過能を付与することにより,新たな抗ウイルスタンパク質製剤を創出した.さらに,人工DNA結合タンパク質にDNA切断部位を融合することにより,ウイルスゲノムを特異的に切断する人工ヌクレアーゼを創出し,有機化合物よりも10万倍高い比活性を示す,より効果的な抗ウイルス剤を開発することに成功した.

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© 2014 日本ウイルス学会
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