ウイルス
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総説
デングウイルス複製に関与するHsp70 サブネットワークの意義
田鍬 修平フリードマン ジュディス
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2015 年 65 巻 2 号 p. 179-186

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抄録

 細胞内寄生体であるウイルスにとって,宿主細胞の生体機能を如何に効率よく盗用し自己増殖を成し遂げるかは生存戦略の要である.細胞が備えるタンパク質品質管理機構(Protein Quality control: QC)は,翻訳されたタンパク質を正確に折り畳み(フォールディング),機能的構造の安定化を向上するだけでなく,本来の折り畳みの型から懸け離れ機能不全に陥った異常タンパク質を速やかに排除することで細胞内外のタンパク質恒常性維持に寄与しているが,実に多岐にわたるウイルス種がその生活環の様々なステージにおいてQCを流用している.最近,我々はデングウイルス(DENV)がその生活環において,少なくとも3つの異なるステップでQCの主要分子の一つ,Heat shock protein 70 (Hsp70) を利用すること,そしてその特異性はシャペロンを支えるコシャペロンが規定することを明らかにした.本稿ではDENV生活環における多様なQCの意義について解説する.

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© 2015 日本ウイルス学会
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