2019 年 75 巻 7 号 p. III_375-III_384
実環境で起こりうる水の混合を模倣したAGP試験に脂肪酸組成分析を組み合わせることで,湾外起源水の流入による内湾生産者分類群の生産や群集構造への影響を評価することを試みた.志津川湾内湾水と各流入水を混合しAGP試験を行った結果,流入水起源の違いによって生産者分類群応答が異なり分類群間での競合関係が捉えられた.細菌・藍藻は硝酸態・亜硝酸態窒素濃度の高い条件下でより生産されたのに対し,珪藻や渦鞭毛藻などの藻類はリン酸態リン濃度の高い条件下で生産が高まった.これらより,N/P比によって生産者の群集構造が大きく変化することが示された.内湾で混合する,流域からの淡水の質変化によって内湾で生産される脂肪酸組成が大きく変化する可能性が示唆され,湾および周辺流域を包括的にとらえた内湾一次生産管理の必要性が示された.