ウイルス
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特集:SARS-CoV-2
COVID-19の病態・免疫
飯田 俊鈴木 忠樹
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2020 年 70 巻 2 号 p. 167-174

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抄録

 2019年12月に中国・武漢からCOVID-19の第一報が報告されて以来,SARS-CoV-2の流行は世界中に拡大し,公衆衛生上の重大な問題となっている.現在COVID-19に対する治療法の開発が進められているが,いずれも効果は限定的なものにとどまり,より有効な治療薬やワクチンの開発が望まれている.感染症に対する効果的な治療薬やワクチンの開発には,病態への十分な理解が欠かせない.特に,感染症と病原体との因果関係や,病態形成機構を解明する過程では,病理学的な解析が重要な役割を担う.これまでの病理学的な解析により,COVID-19の病変の主座は呼吸器にあること,呼吸器以外にも多彩な病変が形成されることが明らかになってきた.また,COVID-19では,宿主の免疫応答が病態の悪化に寄与することを示す報告が次第に集積してきており,MIS-C/MIS-Aという新たな概念が確立されつつある.本稿では,COVID-19の病態に関して病理学的見地から概観するとともに,COVID-19における免疫について,感染防御と病態形成という二つの側面に焦点を当てて概説する.

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