抄録
デング熱・出血熱は熱帯・亜熱帯地域において公衆衛生上,重要な病原体であり,年間,約4億人が発症すると推定されている.デングウイルスは4つの血清型が存在し,hyperendemic流行地域ではこの4つの血清型が同時に流行するという特徴がある.しかし,有効なワクチンおよび治療薬がいまだに実用化されていない.デング熱ワクチンや有効な治療法開発にはウイルス感染における免疫応答を理解することが不可欠である.世界的なCOVID-19の流行は,特にデング熱が流行する発展途上国で,公衆衛生上の大きな問題となっている.本稿では,ポストコロナのデング熱の流行状況,ワクチン開発の現状と発症メカニズムについて述べる.