ウイルス
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特集:新型コロナウイルス感染症 COVID-19 
COVID-19パンデミック下のSARS-CoV-2変異株の特徴および日本における市中流行株の遷移
助川 明香武内 寛明
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2021 年 71 巻 1 号 p. 19-32

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抄録

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因病原体であるSARS-CoV-2は,世界各地において多様な変異株が感染拡大を続けている.WHOは,これら変異株を懸念される変異株(Variants of Concern; VOCs)または注目すべき変異株(Variants of Interest; VOIs)に分類しそれらの動向を注視している.特にVOCに分類されているB.1.1.7系統株に加え,新たにVOCに加えられたB.1.617.2系統株は,感染伝播性の増大や免疫逃避への関与が示唆される変異株として各国での流行が懸念されている.本邦ではB.1.1.214/B.1.1.284系統株に加え,2021年1月以降,B.1.1.7系統株による市中感染事例が急速に増加している.更には2021年4月以降では「L452R」変異を有するB.1.617系統株の国内検出事例が報告される中,5月上旬にはB.1.617.2系統株の市中感染事例が確認された.本稿では「病原体と宿主とのせめぎあい」により出現している様々なSARS-CoV-2系統株の特徴および本邦における市中流行株の遷移について概説したい.

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