2021 年 71 巻 1 号 p. 45-54
水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)は初感染では水痘,その後脳脊髄の神経節の細胞に潜伏感染し,数年〜数十年後に帯状疱疹を生じる.VZVはヒトに感染するヘルペスウイルスの中で唯一流行性に感染し,また唯一ワクチンで予防が可能なウイルスである.帯状疱疹は造血幹細胞移植,血液悪性腫瘍,Jak阻害薬内服,SLEなどを有する患者と高齢者で顕著にその頻度が上昇する.新たに登場した帯状疱疹の成分ワクチンはアジュバントとVZV糖タンパクgEの混合物で,高齢者でも高い予防効果がみられる.本稿では水痘,帯状疱疹の臨床的知見から発症機構を考察し,成分ワクチンの臨床効果について主に臨床的な事実をまとめる.