ウイルス
Online ISSN : 1884-3433
Print ISSN : 0042-6857
ISSN-L : 0042-6857
2020年度杉浦奨励賞論文
ムンプスウイルス増殖に関わる宿主因子の機能解析
加藤 大志
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 71 巻 1 号 p. 71-78

詳細
抄録

 ムンプスウイルス(MuV)は小児の代表的なウイルス性感染症である流行性耳下腺炎(おたふくかぜ,ムンプス)の原因ウイルスである.他のウイルス感染と同様に,MuVの増殖過程には多くの宿主タンパク質が関与している.これまでに我々はMuV感染に関わる宿主因子として,シャペロンタンパク質であるHeat shock protein 70 (Hsp70)およびHsp90がポリメラーゼ複合体を形成するPタンパク質およびLタンパク質と相互作用し,それらウイルスタンパク質の品質管理を通して,ウイルスRNA合成に必須の宿主因子であること,R2TP複合体がウイルスRNA合成における転写/複製バランスを正確にコントロールし,宿主の免疫応答を最小限に留めることで効果的なウイルス増殖に寄与する宿主タンパク質であること,Rab11がウイルスのリボ核タンパク質複合体の細胞膜への輸送に関わる宿主因子であることを明らかにしてきた.本稿では,それらの知見を中心にMuV感染に関わる宿主因子の機能について紹介する.

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top