ウイルス
Online ISSN : 1884-3433
Print ISSN : 0042-6857
ISSN-L : 0042-6857
日本脳炎ウイルス弱毒QS-株の性状
丸山 典彦越後貫 正夫
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 27 巻 1 号 p. 27-33

詳細
抄録

日本脳炎ウイルス相良株を初代ウズラ線維芽細胞に順化継代した弱毒QS-株, および強毒QS+株の性状について以下の成績を得た.
1. 弱毒QS-株の in vitro での増殖能は37℃および40℃での増殖に比べ30℃ではつねに2log以上の高いウイルス価を得た. いっぽうQS+株は各温度域での増殖差がみられなかった.
2. マウスに対する病原性についてQS-株は哺乳マウスの末梢感染性および成熟マウスの脳内感受性が著しく減弱していた.
3. QS-株およびQS+株はともにρ=1.26付近に高い感染価をもったHA活性の peak が認められた. その分画でのプラックサイズはQS-株で1mm以下 (S), QS+株が4mm (L) とあきらかに大きさの違いがみられた.
以上の結果からQS-株は初代ウズラ線維芽細胞に対し低温増殖性に優れ, さらに弱毒ウイルスの一般的性状を示していた. また Tween 80, 1w/v%作用に対してQS+株の場合HA活性が維持されるかまたは増強される. いっぽうQS-株の場合はHA活性の失活という両株間においてあきらかに異なった性状を示した.

著者関連情報
© 日本ウイルス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top