ウイルス
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幼虫感染法による数種の蚊の日本脳炎ウイルス感受性の比較
唐牛 良明黒田 晃生佐々木 修唐木 利朗竹之熊 国八前田 理
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1977 年 27 巻 1 号 p. 34-39

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抄録

1. 蚊の幼虫期における感染方法を用いて日本産4種の蚊, コガタアカイエカ, アカイエカ, ハマダライエカ, ヒトスジシマカについて日本脳炎ウイルス感受性を検討した. その際, 効率的な感染条件を求めるための予備実験を JaGAr 01株とコガタアカイエカの系を用いて行なったところ, 4令幼虫を27℃のウイルス液 (ウイルス液の titer: 106~107 suckling mice (SM) icLD50/0.02ml) に1時間浸し, これを通常の飼育条件にもどして10日後に harvest する方法がすぐれた方法であった.
2. 上述の方法により作られた感染成虫蚊に, 処理10日後に1日令ヒヨコを吸血させるウイルス伝達実験の結果, 感染蚊に吸血されたヒヨコにおける viremia の出現とそれに続くHI抗体の上昇がみとめられ, 感染蚊は単にウイルスを保有するのみでなく, 十分にウイルス伝達可能となることが知られた.
3. 2段階濃度 (106および107 SM icLD50/0.02ml) のウイルス液中で幼虫期に感染させたコガタアカイエカ, アカイエカ, ハマダライエカ, ヒトスジシマカの4種について感受性を検討した結果, 前3者については感染が成立することが知られた. しかしながら, コガタアカイエカに比べほかの2種の蚊の感受性はかなり低いと思われる結果が得られた.

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