ウイルス
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ヒトロタウィルスの超微構造に関する研究
小賀坂 良一
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1980 年 30 巻 1 号 p. 47-59

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抄録
電子顕微鏡法により, 急性非細菌性下痢症の病原ウイルスであるヒトロタウイルス (human rotavirus) の形態を検討し, 超微構造に関する一知見を得た. ロタウイルスの virion は, 球形で正二十面体構造と考えられ, 特徴的な二重殻構造を示した, 外殻は蜂の巣様模様を示す capsid であり, 内殻は core が占める構造と考えられた. 不完全な粒子では capsid が中空の多角柱 capsomer から構成されることが明らかになった. 正二十面体の一稜に capsomer が3個 (pentamer-hexamer-pentamer) 配列し, capsid を構成する capsomer 総数は42個と推定された. 不完全な粒子の42個の capsomer は, 橋状の連結小単位によって網目状につながれ, 完全な粒子の蜂の巣様構造を形成するという独特な形態を示すと考えられた. また, ヒトレオウイルスとは, 超微構造上の差異が認められた.
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© 日本ウイルス学会
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