ウイルス
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インフルエンザウイルスRNAポリメラーゼの分子解剖II -構造と機能相関-
豊田 哲也
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1997 年 47 巻 2 号 p. 155-164

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抄録

インフルエンザウイルスRNAポリメラーゼは, PB1, PB2, PAからなるサブユニット構造をとり, (-) 鎖ゲノムRNAの転写・複製を共に触媒する。各サブユニットのcDNAを発現して再構成を行い, インフルエンザウイルスゲノムの両末端を持つモデルRNA鋳型に対する反応を調べるという artificial な系を用いた実験により, PB1はRNA合成を行い, PB2はキャッププライミング, そして, PAはゲノムRNA複製の第2段階のcRNA→vRNA合成に関与することが明らかとなった。インフルエンザウイルスRNAポリメラーゼは, PAをN末に置くと, そのC末端 (Y501~S716) にPB1のN末端 (M1~T25) が結合し, そのC末端 (N601~K757) でPB2のN末端 (M51~P104) に結合するというように, それぞれのC末端とN末端がタンデムに結合する。そして, 各サブユニットに対する部位特異的抗体を作製し, その阻害効果を調べたところこれらのサブユニット間結合部位をはじめ, これまでに同定されているPB1のポリメラーゼドメイン, PB2のキャップ結合部位, PAのヌクレオチド結合部位に対する抗体は, PB1の機能であるRNA合成を阻害した。

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