木造建物を対象として,耐力が高いにもかかわらず,大きな被害を受ける地震動の性質とその発生条件について検討した.その結果,そのような地震動は,0.5–1秒応答が大きいという特徴をもっており,0.5–1秒加速度応答が減衰定数5%で1800 cm/s2以上になると,耐力が高いにもかかわらず,大きな被害を引き起こすことがわかった.ただ,そのような地震動は,過去あまり発生していなかった.そこで,そのような地震動が発生する条件について,KiK-net観測点の記録を用いて調べたところ,地中での地動最大加速度300 cm/s2程度以上で,表層地盤の表層30 mの平均せん断波速度が全国の半数を占める200~400 m/s程度ということがわかり,将来,このような地震動が発生する可能性は,低くないと考えられる.