動物の循環器
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原著
犬におけるFridericiaの立方根補正式によるQT間隔補正
小山 秀一良井 久良井 朗子薮 秀之熊田 浩則福田 宏一三谷 節生Jean-Francois ROUSSELOT廣瀬 昶内野 富弥
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2002 年 35 巻 2 号 p. 105-112

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抄録
心室筋の活動電位を反映するQT間隔は,心電図評価の重要な指標である。QT間隔の変動はさまざまな生理的または病的状態で起こるが,心拍数が最も大きな要因である。心拍数からQT間隔を補正する幾つかの公式が報告されているが,一般的にはBazettの補正式が用いられている。しかしながら,Bazettの補正式の問題点も指摘されている。この研究では,犬においてFridericiaの補正式 (QTc2) とBazettの補正式 (QTc1) を比較し,それぞれの補正によるQTとRR間隔の相関関係について検討した。心電図記録は心疾患が認められない家庭飼育犬407頭から行った。QT間隔およびQT補正値とRR間隔との相関関係では,QT間隔が最も高い値を示した (r =0.676, p <0.0001)。一方,QTc1とQTc2との比較では,QTc1はRR間隔と高い相関を示したが (r =−0.568, p <0.0001), QTc2は r =−0.180 (p <0.0005) で最も低い相関を示すとともに,補正値は幅広い心拍数の範囲でほぼ一定の値であった。したがって,犬でRRの変動によるQTの変化を補正する方法としては,Bazettの平方根を用いる補正式に比べFridericiaの立方根を用いる補正式の方がより適当であると考えられた。
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© 2002 日本獣医循環器学会
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