動物の循環器
Online ISSN : 1883-5260
Print ISSN : 0910-6537
ISSN-L : 0910-6537
原著
胸部誘導によるビーグル犬の心電図QT間隔計測の有用性について
原田 拓真塩谷 元宏阿部 純子浜田 悦昌
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 37 巻 1 号 p. 8-13

詳細
抄録
10~11カ月齢の健康なビーグル犬の雄14頭 (7.42~10.70kg), 雌12頭 (5.54~7.40kg) を用い, 無麻酔・懸垂位で標準肢誘導および胸部誘導 (CV5RL誘導) による心電図を同時記録し, II誘導および胸部誘導で記録される心電図波形についてQT間隔およびT波振幅を比較検討した。その結果, 1. 第II誘導では, 個体によりT波形状は陽性, 陰性, 二相性あるいは二峰性を示したが, CV5RL誘導では常に陽性の明瞭なT波が記録され, その振幅は第II誘導のT波振幅の1.7~7.5倍と大きかった, 2. CV5RL誘導で得られた心電図QT間隔の平均値は第II誘導で記録されたQT間隔の平均値に比し, 4 msec (第II誘導の平均QT間隔の約2%に相当) 長かったが, これはごく軽微な誘導間の差であると考えられた, 3. 標準肢誘導 (6誘導) と胸部誘導 (CV5RL誘導) を同時記録し, CV5RL誘導から得られるQT間隔を測定する方法は簡便であり, 同一動物での経時的QT間隔の比較あるいは他の動物とのQT間隔の比較において有用であると考えられた。
著者関連情報
© 2004 日本獣医循環器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top