抄録
一次口遺残を伴わない部分型房室中隔欠損が28日齢,メスのホルスタイン種で認められた。その心臓は流入部心室中隔が大きく欠損し,特徴的な“えぐり取り”所見を示していた。心房中隔は,線維輪と結合した二次中隔の卵円窩縁に一次中隔の底が結合し,一次口は存在しなかった。左房室弁の中隔尖は完全に前部成分と後部成分に離開していた。一方,右房室弁の中隔尖の離開は不完全で,分離した左右の房室口が形成されていた。両中隔尖の前半部同士は癒合して架橋尖を形成していた。左中隔尖の後部成分は左心室内に,右中隔尖の後部成分は右心室内に存在していた。この心臓には両大血管右室起始,二次口型心房中隔欠損,二重前大静脈および左鎖骨下動脈起始異常が合併していた。