動物の循環器
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症例報告
三尖弁閉鎖不全症犬において右心内圧と血中ANPならびにNT-proBNP濃度を測定した1例
堀 泰智村上 春翔佐藤 千早中川 明奈三浦 弘菊池 元宏大浪 洋二
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2010 年 42 巻 2 号 p. 37-42

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抄録
13歳のビーグル犬が腹囲膨満と呼吸器症状を主訴に来院した。胸部X線検査から心拡大が確認され,心エコー図検査から三尖弁閉鎖不全症が診断された。右心房圧は正常であったが,右心室圧は上昇していた(収縮期/拡張末期;69/5.0 mmHg)。血中ANP濃度は正常範囲であったが,血中NT-proBNP濃度は1,583 pmol/Lと高値であった。内科治療としてエナラプリル,トラセミド,メチルジゴキシンを処方したところ,治療後30日目には臨床兆候は改善し,右心室圧も低下していた(収縮期/拡張末期;20/-2.3 mmHg)。また,血中NT-proBNP濃度は1,245 pmol/Lに低下していた。本症例では,右心不全に伴う右心室圧の上昇によって血中NT-proBNP濃度が上昇していたと推察される。
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© 2010 日本獣医循環器学会
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