動物の循環器
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42 巻, 2 号
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症例報告
  • 堀 泰智, 村上 春翔, 佐藤 千早, 中川 明奈, 三浦 弘, 菊池 元宏, 大浪 洋二
    2010 年 42 巻 2 号 p. 37-42
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/06
    ジャーナル フリー
    13歳のビーグル犬が腹囲膨満と呼吸器症状を主訴に来院した。胸部X線検査から心拡大が確認され,心エコー図検査から三尖弁閉鎖不全症が診断された。右心房圧は正常であったが,右心室圧は上昇していた(収縮期/拡張末期;69/5.0 mmHg)。血中ANP濃度は正常範囲であったが,血中NT-proBNP濃度は1,583 pmol/Lと高値であった。内科治療としてエナラプリル,トラセミド,メチルジゴキシンを処方したところ,治療後30日目には臨床兆候は改善し,右心室圧も低下していた(収縮期/拡張末期;20/-2.3 mmHg)。また,血中NT-proBNP濃度は1,245 pmol/Lに低下していた。本症例では,右心不全に伴う右心室圧の上昇によって血中NT-proBNP濃度が上昇していたと推察される。
  • 飯塚 智也, 星 克一郎, 大巻 正弘, 坂田 郁夫
    2010 年 42 巻 2 号 p. 43-48
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/06
    ジャーナル フリー
    4 カ月齢の重度肺高血圧の合併が疑われた動脈管開存症の犬において動脈管結紮術を実施した。手術直前の心エコー検査では明らかな左-右短絡が認められなくなり,肺高血圧が疑われた。症例は手術後に失神発作や胸部レントゲン検査および心エコー検査の増悪を認め,肺高血圧の進行および右心不全が疑われた。術後1カ月の胸部レントゲン検査および心エコー検査所見は改善し,興奮時の症状も消失した。本症例は肺高血圧を伴う動脈管開存症の犬における外科的治療の可能性を示唆するものである。
  • 堀 泰智, 南 昌弘, 金井 一享, 星 史雄, 伊藤 直之, 樋口 誠一
    2010 年 42 巻 2 号 p. 49-54
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/06
    ジャーナル フリー
    7歳齢の雄猫が突然の後躯麻痺を主訴に来院した。身体検査では開口呼吸,後肢の冷感,股動脈拍動の消失がみられた。心エコー図検査では左心室壁の肥厚,左心室内腔の狭小化,左房の拡大が確認された。血液生化学検査ではAST, ALT, LDH, CPKの上昇がみられ,血漿ANP濃度は95.5 pg/mlと上昇していた。本症例では3日間の集中治療を行ったところ臨床兆候の改善がみられたため退院し,内科治療を継続した。第28病日には臨床兆候ならびに心エコー図検査所見の改善が確認された。血液生化学検査ではAST, ALT, LDH, CPKの低下がみられ,血漿ANP濃度は38.8 pg/mlに減少していた。これらのことから継続的な血漿ANP濃度の測定は肥大型心筋症猫において治療効果の指標となる可能性が期待される。
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