抄録
重度の臨床症状を伴う第III度房室ブロックと診断した14歳のシー・ズーに,心内膜型ペースメーカー植え込み術を実施した。スクリューインリードを用いた右心室VVIペーシングにより心臓調律は良好に制御され,術後直ちに臨床症状は消失した。その後は良好に経過したが,術後7カ月でリードが右心室を穿孔し伝導障害を合併した。外科的なリードの摘出は困難で,別リードの装着により再ペーシングを行ったが,症例は麻酔覚醒より6時間後に死亡した。小型犬のリードにスクリューインリードを使用する際にはその適応を慎重に決定する必要があり,術後も長期にわたって観察する必要があると考えられた。