動物の循環器
Online ISSN : 1883-5260
Print ISSN : 0910-6537
ISSN-L : 0910-6537
43 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
原著
  • 菅野 信之, 浅野 和之, 手島 健次, 枝村 一弥, 田中 茂男
    2010 年 43 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    正常犬に対する心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の皮下投与の効果を評価するために実験を行った。ANPを25 μg/kgの容量で皮下投与を行い,血中ANPの推移を確認するとともに血圧測定,尿検査を行った。皮下ANP投与後,血中ANPは5分後にピークを迎え(591.5±143.0 pg/ml) 120分ほどでBaselineまで戻った。薬物血中濃度-時間曲線下面積は27,874 min・pg/mlであり,消失半減期は18.9±3.7 minであった。また,収縮期血圧は有意に低下し,尿量も増加した。これらのことから皮下ANP投与は,本研究で用いた投与量でANPの持つ生理活性を示すことが示唆された。
症例報告
  • 飯野 亮太, 藤井 洋子, 高野 裕史, 青木 卓磨, 若尾 義人
    2010 年 43 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    血縁関係のあるラブラドール・レトリーバー3頭に,無徴候であったもののII誘導において陰性P波が認められた。X線検査,心エコー検査では特に異常は認められなかった。アトロピン負荷試験では心拍増加とともに陰性P波が陽性P波に変化した。ホルター心電図検査においても同様の傾向が認められた。この陰性P波の発生源および機序を特定することはできなかったが,心房内で異所性の調律が存在し,心拍数の変動とともに洞結節と調律支配を争っているものと考えられた。また,家族性であることから何らかの遺伝性の関与も示唆された。
  • 柴崎 哲, 柴崎 美佳, 大石 太郎, 大治 和久
    2010 年 43 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    重度の臨床症状を伴う第III度房室ブロックと診断した14歳のシー・ズーに,心内膜型ペースメーカー植え込み術を実施した。スクリューインリードを用いた右心室VVIペーシングにより心臓調律は良好に制御され,術後直ちに臨床症状は消失した。その後は良好に経過したが,術後7カ月でリードが右心室を穿孔し伝導障害を合併した。外科的なリードの摘出は困難で,別リードの装着により再ペーシングを行ったが,症例は麻酔覚醒より6時間後に死亡した。小型犬のリードにスクリューインリードを使用する際にはその適応を慎重に決定する必要があり,術後も長期にわたって観察する必要があると考えられた。
feedback
Top