動物の循環器
Online ISSN : 1883-5260
Print ISSN : 0910-6537
ISSN-L : 0910-6537
総説
猫の血栓塞栓症に対するtissue-Plasminogen activator (t-PA) 製剤による血栓溶解療法
水野 壮司上地 正実
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 45 巻 2 号 p. 41-44

詳細
抄録
猫の動脈血栓塞栓症 (Arterial thromboembolism; ATE) は心疾患猫で多く見られる合併症で,発症すれば命の危険がある重篤な状態である。現在,猫の動脈血栓塞栓症に対する主たる治療方法は保存療法である。血栓溶解療法や血栓除去療法等の積極的治療法は一般的には行われていない。バルーンカテーテルを用いた血栓除去療法は塞栓を解除できる方法であるが,専門の施設と機材を必要とし,動脈血栓塞栓症発症猫は肺水腫を併発していることも多いことから一般病院での実施は難しい。一方,tissue-Plasminogen activator (t-PA) 製剤による血栓溶解療法は静脈を確保すれば実施できるため,一般病院の夜間救急でも対応可能で,発症後直ちに行うことができる。しかしながら,それぞれの方法において再還流障害が問題となっており,必ずしも安全で確実な方法とは言い難い。本稿では動脈血栓塞栓症に対する診断と初期治療,t-PA製剤による治療法に関して文献的考察を行うとともに筆者らの経験も交えてご紹介する。
著者関連情報
© 2012 日本獣医循環器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top