腹水貯留を呈し,心室中隔欠損症に第三度房室ブロックを併発した8歳,雌のフェレットに遭遇した。心室中隔欠損症は,双方向性短絡を呈しており,すでに肺高血圧症を併発していると考えられた。そのため,強心と利尿および肺血管拡張療法を実施した。その結果,僅かな右心室圧負荷所見の軽減を認めたが,腹水貯留に改善は見られなかった。そこで,第三度房室ブロックに対する治療として,シロスタゾールを追加したところ,心室レートが上昇し,腹水貯留の改善が見られた。本症例のうっ血性心不全には,肺血管拡張による右心室圧負荷の軽減と同時に,心拍数増大による心拍出量の維持が重要であると考えられた。