動物の循環器
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症例報告
神経調節性失神に対してクレマスチンフマル酸塩が奏功したイヌの1例
新家 俊樹新家 重隆斉藤 孝子
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2019 年 52 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

ポメラニアンが咳をした後に失神するとの主訴で来院した。身体検査では,心雑音は聴取されなかった。胸部X線検査では,気管支パターンを認め気管支炎が疑われた。一般血液検査ではGPTの軽度上昇が見られた。心臓超音波検査では,異常は見られなかった。スカラ心電図検査では発咳後に1.9秒間の洞停止を認めた。アトロピン負荷試験は陽性であり,アトロピン注射後に発咳を誘発させたところ,発咳後の洞停止は認められなかった。ホルター心電図検査では,最大8.1秒間の洞停止が発咳後の失神イベントと同時に認められたため,発咳を起因とする神経調節性失神と臨床診断した。気管支炎に対する治療では,発咳頻度は減少したものの,失神の改善は見られなかった。また,心拍数の増加を期待してシロスタゾールの服用を開始したが,失神頻度に変化は見られなかった。そこで,抗コリン作用を有する抗ヒスタミン剤であるクレマスチンフマル酸塩の服用を行ったところ失神頻度は減少し,第650病日に急性肝不全で死亡するまで良好に失神の管理が可能であった。

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© 2019 日本獣医循環器学会
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