動物の循環器
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臨床ノート
左前大静脈遺残および右前大静脈欠損を伴う肺動脈狭窄症の犬に対しバルーン弁形成術を実施した1例
小林 慶哉平島 享鈴木 理沙小川 雄基則竹 容子千村 直輝綿貫 亨篠田 雄佑池田 正悟井戸 美紗子伊藤 嘉朗千村 収一
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2020 年 53 巻 2 号 p. 73-78

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抄録

2カ月齢のシーズーを左前大静脈遺残(PLCVC)および右前大静脈欠損を伴う肺動脈狭窄症(PS)と診断した。肺動脈バルーン弁形成術(PBV)を計画したが,右前大静脈欠損を伴うPLCVCでは頚静脈からの右心カテーテルが困難であるため,大腿静脈からカテーテル挿入が可能な体格になるまで経過観察とした。6カ月齢,体重4.6 kgの時点で腹水貯留が認められ,大腿静脈からのPBVを実施した。右室流出路へのカテーテル誘導が困難であったが,血管造影用カテーテル内へマイクロカテーテルを挿入する方法により,狭窄部の通過が可能となった。大腿静脈へ挿入した4 Frのシースへも挿入可能な小児用弁形成バルーンカテーテルを使用し,術後肺動脈血流速および臨床症状の改善が認められた。本手技は大腿静脈からのPBVにおいて有用であると考えられるが,使用したバルーン径が比較的小さいため,今後も再狭窄の有無を評価する必要がある。

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© 2020 日本獣医循環器学会
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