動物の循環器
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T-wave Peak-End : QT比は犬の拡張型心筋症における有用な予後指標である:予備的後ろ向きコホート研究
黒河内 健太郎鈴木 朋弥上地 正実
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2024 年 57 巻 2 号 p. 65-73

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抄録

T-wave Peak-End : QT比(TpTe : QT)は,心筋再分極の不均一性を反映する指標であり,人医療では心室性不整脈および死亡率と関連することが報告されている。我々はこの指標が犬の拡張型心筋症(DCM)の病態進行と関連していると考え,予後予測に有用であると仮説を立てた。本研究はステージB2のDCM犬を回顧的に調査した後ろ向きコホート研究であり,診断後2年以内に死亡した症例をEarly Mortality群と定義し,他の症例はControl群とした。TpTe : QTは標準肢誘導心電図により得られ,T波は接線法で終端を定義して測定した。Early Mortalityの予測およびカットオフ基準の算出のためにROC曲線を用いて解析を行なったところ,TpTe : QTは高いAUC値(AUC 0.90;カットオフ値0.20,感度89%,特異度92%)を示した。したがってTpTe : QTはステージB2のDCM犬における新たな予後指標としての可能性を有すると思われた。本研究は,今後実施されるより大規模な前向き臨床研究の前調査として有用な情報を提供したといえる。

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© 2024 日本獣医循環器学会
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