動物の循環器
Online ISSN : 1883-5260
Print ISSN : 0910-6537
ISSN-L : 0910-6537
生後180日齢までの仔犬における心電図の変化とその性差について
石黒 博之千野 和彦井上 満助川 輝美吉田 仁夫
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 21 巻 21 号 p. 42-47

詳細
抄録

心疾患のない母犬から生まれた102頭のビーグル種仔犬(雄46頭,雌56頭)を供試して,生後3時間(0日齢)から180日齢までの心電図を経時的に記録し,波形の変化とその性差の有無について検討した。
心電図の記録は,標準肢誘導(I,II,III)と増高単極肢誘導(aVR,aVL,aVF)で行った。
1.両性における心電図の波形の変化は同様の傾向であったが,統計学的に有意差を断定し得なかった。
2.心拍数は生後10日齢で最高値を示し,その後180日齢まで減少の傾向を示した。
3.P波の振幅の変化は生後65日齢まで減少し,その後180日齢まで増高する傾向を示した。しかし,T波は生後37日齢まで増高し,その後180日齢まで減少した。
4.R波の振幅は生後180日齢まで増高する傾向を示した。しかし,S波の振幅は180日齢まで減少する傾向を示した。
5.P波の持続時間ならびにQRSの持続時間は生後180日齢まで軽度に延長した。
6.P-R間隔は生後30から40日齢の間まで短縮し,その後180日齢まで延長した。
Q-T間隔は生後41日齢まで短縮し,その後180日齢まで延長した。
7.生後3時間(0日齢)から180日齢までの平均電気軸の変化には,左回り(雄74%,雌70%),右回り(雄22%,雌28%),変化しないもの(雄4%,雌2%)の3つのtypeが認められた。

著者関連情報
© 日本獣医循環器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top