動物の循環器
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若齢期心筋症ハムスターの形態学的,血液生化学的および心電図学的特徴
荒川 弘之児玉 弘松岡 信也山口 勇
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1997 年 30 巻 2 号 p. 74-81

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抄録
若齢期における心筋症ハムスターの特徴を明らかにする目的で形態学的,血液生化学的および心電図学的観点から研究を行い,健常ハムスターの成績と比較検討した。
1)形態学的検討
心臓および腎臓の体重に対する相対重量は心筋症ハムスターの方が有意に重かった。
2)血液生化学的検討
血漿中CPK,GOTおよびGPT値は心筋症ハムスターの方が顕著に高値を示した。
3)心電図学的検討
心電図学的には不整脈を含め若齢期心筋症ハムスターにおいて同月齢の健常ハムスターに比し,特徴的な異常は認められなかった。興奮伝導時間に関してR-R間隔およびPQ間隔は心筋症ハムスターの方が短く,QT間隔は長かった。
これらの結果から,若齢期における心筋症ハムスターの心臓は形態学的には既に心肥大を発症し血液生化学的にも心筋に障害の発生している可能性を示唆しているが,電気生理学的異常は軽微であると考えられた。
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© 日本獣医循環器学会
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