抄録
就労・雇用を希望する障害者は近年増加しており、民間企業の障害者雇用率は増加の一途をたどっている。沖縄県北部地域はこれまでも障害者の就職相談や就職者数が多く、障害者雇用に特徴ある取り組みがなされていたので滞在し調査したところ、次のような特徴が得られた。それは、(1) 地域産業衰退の中でも豊かな人のつながりがあり、適職の機会に恵まれない人の雇用を提供する企業の存在、(2) 障害者が取り組みやすい業務を作り出し、働く中で業務遂行技術を得られる仕組み、(3) 企業同友会内における障害者雇用実践の紹介と啓発による障害者雇用企業の増加であった。豊かな人のつながりがある地域性は障害者雇用にとって重要な要素であり、同時に、個人の病状や障害程度に応じた勤務形態の必要性、職場適応援助の必要性、職員として正当な処遇や業務技術の獲得など合理的配慮の必要性が示唆された。