職業リハビリテーション
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最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 職業教育についての調査とキャリア発達の視点からの検討
    渡辺 明広
    2009 年 22 巻 2 号 p. 2-12
    発行日: 2009/03/15
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    現行の盲学校、聾学校及び養護学校高等部学習指導要領において、知的障害者を教育する養護学校 (現在は特別支援学校) に、専門教育に関する教科 (選択教科) として「流通・サービス」が新設されて5年が経過した。そこで、軽度の知的障害のある生徒を対象に職業教育を重視する高等特別支援二学校、および職業学科や職業コースを設置している特別支援学校 (高等部) のうち、教科「流通・サービス」を設置している13校を学校訪問して、職業教育の実施状況についての聞き取り調査と関係資料の蒐集を行った。その結果、専門教科の実施状況は様々であるが、(1) 従来から設置する「家政」「農業」「工業」に、「流通・サービス」のいずれかの分野を加えている学校、(2) 新設の「流通・サービス」のいずれか1つの分野、あるいは複数の分野を中心とする学校、などの類型が見出せた。この結果について、障害の特性に基づくキャリア発達の視点から考察した。
  • 鈴木 良子, 八重田 淳, 菊池 恵美
    2009 年 22 巻 2 号 p. 13-20
    発行日: 2009/03/15
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    知的障害者の職場定着支援要因を見つけるために、東京都心身障害者福祉センターを利用した知的障害者127名のデータを分析した。データは、性別や年齢、IQ、障害児教育の有無、職業能力評価から構成し、職場定着群と非定着群の2群に分けた。職業能力評価は、作業態度・作業スキルに関する29項目によるもので、作業課題場面において個別の観察手法による3段階評価に基づく評価方法をとった。データを分析したところ、年齢、性別、障害児教育の有無で2群に有意差があった。職業能力評価では、「清潔保持」「読み書き能力」「計算能力」「生活の目標」「コミュニケーション手段と訓練」「作業の動機づけや作業内容の理解」「勤務先の選定及び就職先との調整」の項目で有意差が見られた。このことから、知的障害者の職場定着を促すためには、就労の基礎となる生活習慣の獲得と、就労に対する個々人の個別的な志向性の向上を促す支援とともに、就労支援機関の継続的支援が重要であることが示唆された。
  • 杉原 努
    2009 年 22 巻 2 号 p. 21-28
    発行日: 2009/03/15
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    就労・雇用を希望する障害者は近年増加しており、民間企業の障害者雇用率は増加の一途をたどっている。沖縄県北部地域はこれまでも障害者の就職相談や就職者数が多く、障害者雇用に特徴ある取り組みがなされていたので滞在し調査したところ、次のような特徴が得られた。それは、(1) 地域産業衰退の中でも豊かな人のつながりがあり、適職の機会に恵まれない人の雇用を提供する企業の存在、(2) 障害者が取り組みやすい業務を作り出し、働く中で業務遂行技術を得られる仕組み、(3) 企業同友会内における障害者雇用実践の紹介と啓発による障害者雇用企業の増加であった。豊かな人のつながりがある地域性は障害者雇用にとって重要な要素であり、同時に、個人の病状や障害程度に応じた勤務形態の必要性、職場適応援助の必要性、職員として正当な処遇や業務技術の獲得など合理的配慮の必要性が示唆された。
  • 奈良県「植村牧場」の事例から
    大澤 史伸
    2009 年 22 巻 2 号 p. 29-36
    発行日: 2009/03/15
    公開日: 2011/03/23
    ジャーナル フリー
    本論文では、農業分野における知的障害者就労支援の取り組みについて、奈良県「植村牧場」の事例を紹介する。その目的は、(1) 今まで農業分野に関する研究論文がほとんど紹介されなかったこと、(2) 障害者就労を支える上で重要な収益事業を積極的に行っていること、(3) 知的障害者雇用を22年間行っている実績があること、などに注目し、知的障害者の就労支援の新たな視点を見出したいと考えるからである。
    「植村牧場」は、福祉事業体としての姿と企業体としての姿の両方の顔を持っている事業体と捉えることができる。その特徴として、(1) 従業員の適正配置、サポート体制が充実していること、(2) 従業員に対する福利厚生が整備されていること、(3) 伝統を守りつつ積極的な事業展開を行っていること、などの点が注目される。また、それを支える上で国、市町村の公的助成金制度を十分に活用していることが明らかになった。今後は従業員の高齢化の支援等を課題としてあげることができる。
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