2009 年 22 巻 2 号 p. 13-20
知的障害者の職場定着支援要因を見つけるために、東京都心身障害者福祉センターを利用した知的障害者127名のデータを分析した。データは、性別や年齢、IQ、障害児教育の有無、職業能力評価から構成し、職場定着群と非定着群の2群に分けた。職業能力評価は、作業態度・作業スキルに関する29項目によるもので、作業課題場面において個別の観察手法による3段階評価に基づく評価方法をとった。データを分析したところ、年齢、性別、障害児教育の有無で2群に有意差があった。職業能力評価では、「清潔保持」「読み書き能力」「計算能力」「生活の目標」「コミュニケーション手段と訓練」「作業の動機づけや作業内容の理解」「勤務先の選定及び就職先との調整」の項目で有意差が見られた。このことから、知的障害者の職場定着を促すためには、就労の基礎となる生活習慣の獲得と、就労に対する個々人の個別的な志向性の向上を促す支援とともに、就労支援機関の継続的支援が重要であることが示唆された。