2017 年 13 巻 p. 122-130
科学技術イノベーションは,新しい技術による新製品・新サービス・新工程を社会に提供することにより,環境,生活,文化,倫理に甚大な影響を及ぼす可能性がある.場合によっては深刻な負の影響を社会に与えることもありうる.そうした負の影響を事前に予測し対策を準備するツールとしてテクノロジーアセスメント(TA)がある.TAは既に1970年代から欧米諸国や我が国でも実践されてきた.九州大学では,大学院教育の中で,科学技術イノベーション創出の将来の担い手となる可能性のある大学院生を対象とした科学技術コミュニケーションを応用したセルフ・テクノロジーアセスメントの教育プログラムを2013年度から推進している.本稿では,その内容と教育効果についての評価を行った結果について紹介する.