抄録
一般に, 脳梗塞後遺症や頭部外傷などによる脳機能障害者のリハビリテーションの困難性が指摘されている。地域障害者職業センターなどでも, これらの中途障害者に対する職業準備訓練の具体的な実施方法などについては明らかにはされていない。
そこで, 身体的な問題以外にも失名詞失語や右同名半盲を持つ脳機能障害者に対して, 動作法を含む職業準備訓練を実施し, その効果を検討した。その結果, 次のような効果が認められた。(1) 動作法の実施後, 失われていた右手感覚が回復し作業能率に改善が見られた。(2) 吃音などが減少し標準失語症検査の結果が改善した。(3) 自己否定的な考え方から, 自分の障害を的確に受け止めようとする態度へ変容した。
これらの結果から, 職業準備訓練が脳機能障害者に対して有効であり, またその中に動作法などを応用することで心理的問題に対しても, アプローチしうる可能性が示唆された。