日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
感染性腹部大動脈瘤術後遠隔期に腋窩大腿動脈バイパスグラフト閉塞をきたした1例 : 下行大動脈inflowによる血行再建
松崎 賢司椎谷 紀彦山下 知剛国原 孝村下 十志文安田 慶秀
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2006 年 15 巻 1 号 p. 47-49

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抄録
感染性腹部動脈瘤術後, 遠隔期に腋窩-大腿動脈バイパスの閉塞をきたした症例を経験した. 本例に対し, 下行大動脈をinflowとする非解剖学的バイパス術を行い, 良好な結果を得たので報告する. 症例は58歳, 男性. サルモネラによる感染性腹部大動脈瘤に対し左腋窩-両大腿動脈バイパス, 瘤切除, 大網充填術を施行した. 術後7カ月目にバイパスグラフト閉塞, 下肢虚血にて緊急入院となった. 手術は第7肋間開胸, 後腹膜経路でアプローチし, 癒着が予想される腎動脈下の大動脈断端部は露出せず下行大動脈を露出し, 部分遮断下にYグラフト中枢を端側で吻合した. 左脚は左外腸骨動脈に端側で, 右脚は右大腿人工血管に端端で吻合した. 術後経過は良好. 再血行再建術後9カ月の時点で, 下肢虚血症状なく経過観察中. 本法は感染瘤術後の腋窩-大腿動脈バイパスグラフト閉塞の再手術法として, 比較的若年で, 術前合併症の少ない症例には有効と考える.
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