日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
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最新号
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講座
  • 山之内 大
    2026 年35 巻2 号 p. 63-67
    発行日: 2026/04/29
    公開日: 2026/04/29
    ジャーナル オープンアクセス

    腹部大動脈瘤(abdominal aortic aneurysm: AAA)は,高齢化が進む本邦において今後も患者数の増加が予測される重要な血管疾患である.近年,endovascular aneurysm repair(EVAR)の普及によりAAA治療は大きく進歩し,低侵襲治療として広く行われるようになった.一方で,治療適応の判断,術前評価,デバイス選択,術式の工夫,ならびに術後フォローアップにおいては,依然として高度な専門的判断が求められる.本講座では,腹部大動脈瘤治療の基本的な考え方を整理したうえで,とくにEVARを中心とした最新の治療戦略について解説する.治療適応の考え方,術前画像評価の要点,中枢および末梢ランディングゾーンの評価,デバイス選択の実際,ならびに腸骨動脈病変や腎動脈近傍病変を伴う特殊症例への対応について,現在のエビデンスと実臨床での意思決定の視点を交えて概説する.腹部大動脈瘤治療に携わる血管外科医にとって,日常診療における判断の一助となることを目的とする.

症例
  • 草木迫 充, 陽川 孝樹, 脇山 英丘
    2026 年35 巻2 号 p. 29-32
    発行日: 2026/04/17
    公開日: 2026/04/17
    ジャーナル オープンアクセス

    大腿深動脈瘤は非常に発生頻度が低く,標準的な治療法が確立されていない.今回われわれは,偶発的に発見された大腿深動脈瘤に対して手術加療を行った症例を経験した.症例は83歳男性.尿蛋白増加の精査目的で当院に紹介された.CT検査で最大短径51 mmの右大腿深動脈瘤が認められ,手術適応と判断し人工血管置換術を施行した.創傷治癒遅延を認めたが,術後22日目に独歩退院した.症例報告が少なく,文献的考察を加え報告する.

  • 松村 泰基, 秋田 翔, 植村 友稔, 爲西 顕則
    2026 年35 巻2 号 p. 33-36
    発行日: 2026/04/17
    公開日: 2026/04/17
    ジャーナル オープンアクセス

    術式の選択に苦慮したKommerell憩室合併慢性大動脈解離に対し両側stepwise法を用いた拡大弓部置換術を施行し良好な結果を得たため報告する.症例は67歳男性でB型解離に伴う血管径の拡大を認め胸部での真腔高度狭窄および大動脈終末部での真腔閉塞のためステントグラフトを用いた2期的手術は不適応と判断した.手術は胸部正中切開および左第6肋間開胸にて施行し体外循環を正中創から確立した後に中等度低体温循環停止下で弓部大動脈および下行大動脈を離断した.Stepwise法の要領で血管内腔に両端を内翻した人工血管を通し下行大動脈中枢側と縫合後に人工血管を引き抜いて末梢吻合を行った.弓部末梢も同様に吻合し人工血管を引き抜き4分枝管との吻合を行った.鎖骨下動脈根部は両側ともに正中創から閉鎖し人工血管を介して胸郭外で腋窩動脈と吻合した.良好な結果を得られたため報告する.

  • 賀来 大輔, 平居 秀和, 瀬尾 浩之, 村上 忠弘
    2026 年35 巻2 号 p. 37-41
    発行日: 2026/04/29
    公開日: 2026/04/29
    ジャーナル オープンアクセス

    82歳,女性.右下肢しびれの増悪および右臀部拍動性腫瘤の精査加療目的に当院受診.造影CT検査にて最大短径34 mmの右遺残坐骨動脈瘤を認めた.神経症状が主訴であり,手術による坐骨神経への影響を軽減するためハイブリッド手術を選択した.全身麻酔下・仰臥位にまずring付き人工血管(8 mm)で右総大腿–右膝窩動脈バイパスを施行.次いで右遺残坐骨動脈瘤への流入・流出血管に対する塞栓術を施行した.術中最終造影で右遺残坐骨動脈瘤内への血流遮断とバイパス血管の良好な開存を確認した.術直後から右下肢しびれ・右臀部腫瘤の拍動は消失し,術後造影CT検査では,バイパス血管の開存と右遺残坐骨動脈瘤内への血流遮断を確認できた.術後1年および2年の造影CT検査でも遺残坐骨動脈瘤内への血流遮断の維持と瘤径縮小が確認された.神経症状を伴う遺残坐骨動脈瘤患者では,ハイブリッド手術が有用な治療選択肢となりうると考えられた.

  • 池添 亨, 市川 洋平, 細井 温, 窪田 博
    2026 年35 巻2 号 p. 69-73
    発行日: 2026/04/29
    公開日: 2026/04/29
    ジャーナル オープンアクセス

    人工血管周囲漿液腫(seroma)は,腹部大動脈瘤術後の合併症の一つである.今回われわれは経過観察中に感染をきたしたseromaの一例を経験した.症例は85歳,男性.腹部大動脈瘤に対してY字型人工血管置換術を施行し,術後11年目に腹部膨満感を主訴に当院を受診した.CT検査では最大短径12 cmのperigraft seromaを認めたが,外科的治療の希望はなく経過観察の方針となった.その2年後に発熱で当院を受診し,seromaおよび人工血管の感染が疑われため,人工血管を含めた感染巣の除去,リファンピシン浸漬人工血管再置換術(ダクロングラフト),大網充填術を施行した.術後に再感染をきたしドレナージ術を要したが,その後は感染兆候なく経過し退院した.Perigraft seromaの感染例では異種類の人工血管置換に加え,瘤壁の切除と大網被覆することが望ましいと考えられた.

2022年JCLIMB年次報告
  • 日本血管外科学会JCLIMB委員会, NCD JCLIMB分析チーム
    2026 年35 巻2 号 p. 43-61
    発行日: 2026/04/29
    公開日: 2026/04/29
    ジャーナル オープンアクセス

    2013年以降,日本血管外科学会は,我が国における重症下肢虚血(critical limb ischemia; CLI)診療の実態を明らかにし,その結果を医療現場へ還元することで診療の質向上に資することを目的として,全国規模のCLI登録・追跡データベース事業(JCLIMB)を開始した.本データベースは,非手術例を含むCLI症例について,患者背景,治療内容,早期予後,さらに治療後5年間の遠隔成績を登録するもので,National Clinical Database(NCD)上に構築されている.2020年まではJAPAN Critical Limb Ischemia Database(JCLIMB)として運用されていたが,2019年に発表されたGlobal Vascular Guidelines(GVG)に基づき,2022年より登録対象をChronic Limb-Threatening Ischemia(CLTI)に変更したことから,データベース名称もJAPAN Chronic Limb-Threatening Ischemia Database(JCLIMB)に改められた.2022年は,116施設から計1337肢(男性888肢,66%)が登録され,そのうち動脈硬化性疾患(arteriosclerosis obliterans; ASO)によるCLTIが1317肢(99%)を占めた.本年次報告書では,ASO症例に限定して,登録肢の患者背景,虚血肢の状態,治療内容,および治療後1カ月の早期成績を集計し報告する.

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