日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
再発する肺塞栓症に対し下大静脈フィルターを腎静脈上部に追加留置した1例
大徳 和之一関 一行小山 正幸福井 康三福田 幾夫野田 浩
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2006 年 15 巻 3 号 p. 379-382

詳細
抄録

症例は39歳男性. 先天的凝固異常を認めず, 外傷などの後天的要因もなく深部静脈血栓症, 肺塞栓症を発症した. 前医においては本症例に対して, 腎静脈下部にGreenfieldフィルターを留置し, ヘパリンを用いた抗凝固療法を行ったにもかかわらず肺塞栓症を繰り返した. 当科紹介後, 新たにSimon nitinorフィルターを腎静脈上部に追加留置し, 抗血小板剤, ワーファリン等の内服によりINR (international normalized ratio) を2.5~3にコントロールすることで, 新たな肺塞栓症の出現をみることなくヘパリン投与を中止することができた. 退院後も外来通院としているが, 現在胸痛等の症状は認めない. 今後は凝固系遺伝子異常を含めたさらなる原因検索をする必要があると思われた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top