日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
Isolated left vertebral arteryを合併した胸部大動脈瘤2症例に対するtotal arch replacement
榊 雅之大竹 重彰流郷 昌裕吉田 卓矢
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ジャーナル オープンアクセス

2006 年 15 巻 3 号 p. 401-403

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抄録

胸部大動脈瘤にisolated left vertebral artery (ILVA) を合併した2症例に対して, 脳分離体外循環下に上行弓部大動脈置換術を施行した. 症例は, 71歳女性および70歳男性. 1例目は大動脈解離 (Stanford B) の慢性期外来フォロー中, 遠位弓部大動脈拡大のため, 2例目は定期健診時CTにて嚢状遠位弓部大動脈瘤を偶然指摘され手術適応となった. 両症例とも術前CTおよび血管造影にてILVAの診断は得られず, 術中に発見された. 手術は選択的脳分離体外循環下に施行し, ILVAへの送血は左鎖骨下動脈の送血管側管より点滴用延長チューブを介して行った. 分枝再建は左鎖骨下動脈とILVAの起始部大動脈壁を島状に切離後, 人工血管分枝に吻合し4分枝再建とした. 脳分離体外循環時間は186分および162分であった. 両症例ともに術後脳合併症の発生は認めず, 術後20日目および11日目に軽快退院した.

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