日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
下肢および腸管虚血を伴った急性大動脈解離 (Stanford B型) に対し, 腹部大動脈開窓術と人工血管置換術を施行した1治験例
〓田 俊之水口 一三亀田 陽一森 透
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ジャーナル オープンアクセス

2006 年 15 巻 5 号 p. 503-506

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抄録

症例は63歳男性. 突然の胸背部痛のため近医を受診し, 大動脈解離を疑われ, 当院に紹介された. CT検査にて血栓閉鎖型急性大動脈解離 (Stanford B型) と診断し, 保存的療法を施行した. 良好に経過していたが第5病日に突然背部から腹部, 左下肢へと移動していく痛みが出現, 左大腿動脈以下の脈拍が消失し, 腹部膨満も認められた. CT検査では偽腔血流が再開し, 解離が右腸骨動脈にまで及んでおり, 左腸骨動脈への血流は偽腔により障害されていた. 緊急手術の方針とし, 腸管虚血が疑われたために開腹し, 腹部大動脈開窓術および末梢側の人工血管置換術を施行した. 術後は腸管の色調および下肢の脈拍も良好となった. その後の経過も良好であり, 現在外来通院にて経過観察中である.

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