日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
下肢動脈閉塞性疾患の診断におけるmagnetic resonance angiography: Digital subtraction angiographyとの比較
緒方 孝治石本 忠雄
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2007 年 16 巻 6 号 p. 741-746

詳細
抄録

【背景】当科では,下肢動脈閉塞性疾患に対し,スクリーニングとしてmagnetic resonance angiography(MRA)を行い,治療が必要と思われる症例に対してdigital subtraction angiography(DSA)を追加している.MRAで指摘された病変がDSAでどのように評価されるのか検討した.【方法】2004年 7 月から2005年11月までにMRA,DSAともに行った12例を対象とした.MRAで認められた病変を信号欠損,狭窄,信号低下,スリット状,複合病変の5 群に分類,それらについてDSAで確認し,閉塞,高度狭窄,軽度狭窄,病変なしの 4 つに判別した.【結果】MRAで105病変が確認され,信号欠損(28病変)はDSAでは閉塞23(82.1 %),高度狭窄 4(14.3%),軽度狭窄 1(3.6%),病変なし 0,狭窄(11病変)はDSAでは閉塞 0,高度狭窄 4(36.4%),軽度狭窄 5(45.5%),病変なし 2(18.2%),信号低下(34病変)はDSAでは閉塞 1(2.9%),高度狭窄12(35.3%),軽度狭窄 9(26.5%),病変なし12(35.3%),スリット状(24病変)はDSAでは閉塞 0,高度狭窄 2(8.3%),軽度狭窄15(62.5%),病変なし 7(29.2%),複合病変(8 病変)はDSAでは閉塞 0,高度狭窄 7(87.5%),軽度狭窄 0(0%),病変なし 1(12.5%)と判別された.【結論】MRAとDSAでは,病変の描出は必ずしも一致するとは限らない.それぞれの異なる特性を理解し検査を行う必要があると考える.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top