日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
ブラッドアクセス23年1895例の成績からみた内シャントの術式選択
畠山 卓弥氏家 一知古川 猛野中 達也星野 正信
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ジャーナル オープンアクセス

2008 年 17 巻 5 号 p. 557-564

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抄録

内シャントの術式別長期成績をまとめ,最適な術式選択について検討した.1984年12月より23年間のシャント手術例のうち追跡データのある1895例を対象として,術式別に開存率(1,3,5 年)を算出するとともに,閉塞の経時的なパターンも検討した.自己血管によるシャント手術は1560例(82.3%),人工血管移植術114例(6.0%),PTAは221例(11.7%)に行われた.動静脈瘻形成術の 1,3,5 年 2 次開存率は部位別にそれぞれタバチエール:61,53,44%;前腕遠位部橈側:70,59,54%;前腕尺側:57,43,35%;前腕中央部橈側:78,69,58%;肘部:87,72,55%であった.また 3 年 2 次開存率が最も良好だったのは上腕部静脈表在化 + 肘部動静脈瘻(87.6%)であった.人工血管移植術の 1,3,5 年 2 次開存率はそれぞれ,前腕ループ:59,39,24%;上腕ループ:63,36,27%であった.その他のシャント再建術ではパッチ形成術,PTAが良好な開存率を示した.シャント閉塞の発生率は術後 2 年間がもっとも高くその後漸減し,術後10年目以降に再び上昇する傾向がみられた.深部静脈を含めた自己血管によるシャント手術の開存率は良好であり,できる限りこの術式を選択すべきと考えられた.また閉塞のピークは術後 2 年以内と10年目以降にあるため,この時期のサーベイランスがとくに重要と考えられた.

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