日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
稀有な形態を呈した腹部大動脈瘤
─大動脈瘤と両側総腸骨動脈瘤が一体化したと考えられる 1 例─
神作 麗齊藤 寛文江口 昭治丸山 行夫
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キーワード: 腹部大動脈瘤, 腸骨動脈
ジャーナル オープンアクセス

2009 年 18 巻 1 号 p. 27-30

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抄録

【背景】大動脈瘤と総腸骨動脈瘤の合併はしばしば経験するが,大動脈瘤と両側の総腸骨動脈瘤が一体化した症例はまれである.【症例】71歳の女性.検診の超音波検査で腹部大動脈瘤を認め,CTで直径が68mmあり,手術適応とされた.【結果】動脈瘤は中央部がくびれ,全体としてひょうたんのような形で,両側の外腸骨動脈・内腸骨動脈のいずれも動脈瘤下端から直接分枝していた.本症例の動脈瘤は,(1)腹部大動脈瘤のみ,(2)腹部大動脈瘤と片側の総腸骨動脈瘤が癒合,あるいは(1)腹部大動脈瘤と両側の総腸骨動脈瘤が癒合,の 3 通りが考えられるが,(1)(2)ならば総腸骨動脈の欠損を伴う必要がある.しかし,総腸骨動脈の欠損の頻度は非常に低く,ほかの先天性異常を伴わないものはさらにまれである.【結論】大動脈瘤と両側の総腸骨動脈瘤が一体化し,まれな形態(ひょうたん型)になったと思われる 1 例を報告した.

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