日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
Stanford A型急性大動脈解離(IIIb逆行性)に合併した腸管虚血に対し,緊急ステントグラフト内挿術を施行した 1 例
矢田 真希貴志 直哉湯浅 右人徳井 俊也庄村 赤裸
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2009 年 18 巻 1 号 p. 37-41

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抄録

【背景】腹部臓器血流障害を伴うIIIb逆行性A型急性大動脈解離に対し,緊急ステントグラフト内挿術を施行し,良好な結果を得たので報告する.【症例】66歳,男性.突然の胸背部痛に対し,Stanford A型急性大動脈解離と診断され,当院に搬送となった.当院搬送時より軽度腹痛を認め,回数を増す嘔吐,アシドーシスの進行を認めたため再度造影CT検査を行った.エントリーは下行大動脈近位部にあり,末梢側偽腔は拡大して腹腔動脈,上腸間膜動脈のレベルで真腔は著しく圧迫され,各々の動脈分岐部で途絶像を認めた.このため,偽腔による真腔圧迫に伴う血流障害と判断し,エントリー閉鎖目的に緊急ステントグラフト内挿術を施行した.【結果】術後アシドーシスは改善し,腹部症状も消失し,経過良好にて退院となった.【結論】大動脈解離急性期の腹部臓器血流障害に対するステントグラフト内挿術によるエントリー閉鎖は,有効かつ救命率を高める手段の一つであると考える.

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