2011 年 20 巻 5 号 p. 783-786
腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術術後,エンドリークによる大動脈瘤径拡大を来し,開腹手術に移行した1例を経験したので報告する.症例は87歳の男性.最大径60 mmの腹部大動脈瘤に対し,Excluder®を用いたステントグラフト内挿術を施行した.術中残存したtype IIエンドリークは術後CTでは消失しており,1年後の動脈瘤径は56 mmと縮小した.しかし,術後17カ月目にエンドリークが再出現し,大動脈瘤径は73 mmと急速拡大した.2度にわたり塞栓術を施行したがエンドリークは消失せず,瘤径拡大(78 mm)を認めたため,術後19カ月目に腹部大動脈瘤切除・ステントグラフト抜去・人工血管置換術を施行した.ステントグラフト抜去は比較的容易で,landing zoneであった部位を吻合に使用できた.エンドリークは下腸間膜動脈からのtype IIであり,ステントグラフト本体には明らかな異常を認めなかった.