日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
末梢に高度な狭窄を有する孤立性上腸間膜動脈解離に対する外科的血行再建術の1例
捶井 達也大竹 裕志木村 圭一森山 秀樹鷹合 真太郎渡邊 剛
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2012 年 21 巻 2 号 p. 133-136

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抄録
症例は54歳,男性.急激な上腹部痛を認め近医を受診し,腹部CT検査にて上腸間膜動脈(superior mesenteric artery; SMA)の解離と診断された.偽腔の大部分は血栓化していたが,第3空腸枝分枝起始部レベルにて偽腔を認めた.SMA末梢の血流は良好で腸管虚血を疑う所見はなかった.2カ月間で偽腔の拡大(18.5 mmから27.0 mm)を,さらに内腔の圧排による真腔の高度狭窄を認めた.腸管虚血を疑う所見はなかったが,今後も偽腔は増大すると考え,動脈瘤の中隔切除・縫縮術を施行した.術後18カ月経過し施行したCT検査にて,縫縮部の拡張もなく狭窄の解除と,すべての分枝動脈の良好な血流が確認された.現在多くのSMA解離症例に対して保存的治療が行われているが再発の危険性が伴う.また外科的治療においてもバイパス術,ステントグラフト内挿術では分枝動脈を温存できない場合が多い.自験例で内膜切除および瘤縫縮術が有効であった.
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