日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
腎動脈分岐下のshaggy aortaに対して腹部大動脈置換術が有効であった1例
小暮 周平湯浅 右人山本 直樹徳井 俊也
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2012 年 21 巻 5 号 p. 675-678

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抄録

要  旨:Shaggy aortaは,瘤形成を伴わずに大動脈内壁が広くアテローム潰瘍に侵された大動脈である.全身性の微小コレステロール結晶塞栓症を引き起こし,臓器障害などを伴い非常に予後不良の疾患である.一般的に第一選択となる内科的治療法では再発が問題となり,その場合外科的治療が考慮される.症例は77歳男性で,左足趾痛および色調不良にて受診し,blue toe syndromeと診断された.造影CTでは腎動脈分岐下のshaggy aortaを認めた.胸部大動脈や腎動脈周囲には粥腫を認めず,腹部臓器障害も認めなかった.抗血小板薬による内科治療を行ったが,左第2~4趾の壊死増悪を認め足趾切断となった.塞栓症を繰り返したため,再発予防目的に腹部大動脈人工血管置換術を行った.術後造影CTでは粥腫による内壁の不整は認めず,その後の再発は認めなかった.臓器障害がなく長期生命予後が期待される場合は腎動脈分岐下のshaggy aortaに対して人工血管置換術が有効であると考えられた.

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