2013 年 22 巻 5 号 p. 853-855
要 旨:症例は40歳,男性.右下腿に2 cmほどの有痛性の腫瘤を自覚し,下腿静脈瘤が疑われ当院を紹介受診.腫瘤は右下腿後面に存在し,血管エコー上,小伏在静脈と連続しており,最大径は20 mm,内部は充実性で一部に血管成分を認めた.小伏在静脈に限局した静脈瘤と診断,痛みを伴っているため外科的治療の適応と判断し,局所麻酔下に瘤摘出術を施行した.術後の病理組織診断では小伏在静脈に発生した血管平滑筋腫であった.血管平滑筋腫は下腿の静脈に好発する良性腫瘍であり,一般には下肢の小静脈に発生することが多く,大きさも1 cm未満のものが多い.小伏在静脈から発生した血管平滑筋腫はこれまで報告がなく稀な疾患であるが,下肢の疼痛をきたす疾患の鑑別診断の一つとして念頭に置く疾患と考えられた.