日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
ダメージコントロールが有効であった腹部大動脈-十二指腸瘻手術の1 例
荻野 秀光池谷 佑樹向山 尚子三宅 克典
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 22 巻 6 号 p. 915-918

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抄録

要旨:大動脈十二指腸瘻に対する緊急手術中に発症した出血性ショックを,ダメージコントロールを用いたことで改善でき,患者を救命することができた.症例は79 歳の男性で,12 年前に腎動脈下腹部大動脈瘤にて人工血管置換術を受けている.今回,大量の吐血にて救急搬送された.造影CT 検査と内視鏡検査にて腹部大動脈十二指腸瘻と診断され,緊急手術が行われた.手術開始より4 時間,低体温,アシドーシスに加えて凝固障害を来し,剝離面や吻合部針穴からの出血がコントロールできなくなり,手術続行は不可能と判断してガーゼパッキングを行い,手術を一時中断して仮閉腹した.ICU に移動して復温と共に血小板製剤や新鮮凍結血漿などを投与したところ循環動態が徐々に安定した.24 時間後に再開腹すると,止血が確認できたので十二指腸の損傷部を修復して手術を終了した.術後創感染と肺炎を合併したが治癒し第62 病日退院となった.

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