日本血管外科学会雑誌
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症例
無症状で発見され経過観察後にコイル塞栓術を行った下臀真性動脈瘤の1 例
曽我部 長徳黒川 浩典
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ジャーナル オープンアクセス

2014 年 23 巻 1 号 p. 21-24

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抄録

要旨:下臀動脈瘤は稀な疾患で,その報告例のほとんどが外傷後に自覚症状を伴って発見された仮性動脈瘤である.今回,外傷の既往なく無症状で発見され,画像診断にて真性動脈瘤と判断された下臀動脈瘤の1 例を経験したので報告する.患者は60 歳の男性で,5 年前にCT にて左臀筋間に26 mm 径の動脈瘤を偶然指摘されたが,無症状であったため経過観察となっていた.今回肝細胞癌の診断目的で施行した造影CT 検査において最大短径39 mm の下臀動脈瘤と診断された.動脈瘤径が約1.5 倍に増大していたため治療を行うこととし,担癌患者であることを考慮して経動脈的コイル塞栓術を施行した.術後はとくに問題なく経過し,術後3 カ月の現在も瘤内の血流は消失している.なお,本例は臀部動脈瘤の長期自然経過が把握できた初めての報告例である.

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