日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
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症例
離島より大動脈遮断下に緊急搬送された腹部大動脈瘤・腸骨動脈瘤破裂の3 症例
川﨑 裕満中山 義博里 学迎 洋輔
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2014 年 23 巻 1 号 p. 34-37

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抄録

要旨:腹部大動脈瘤・腸骨動脈瘤破裂(RAAA)は致死率の高い疾患であり,緊急手術を要する.循環動態が破たんした場合には,速やかに破裂部位の中枢で大動脈を遮断することが唯一の救命手段となる.当院では離島でRAAA を発症し,緊急大動脈遮断を施され,緊急搬送された症例を3 例経験している.症例1 は68 歳,男性.前医でRAAA と診断,転送待機中に脈拍触知不能となったため,緊急大動脈遮断が施され当院に緊急搬送された.緊急手術により救命できた.症例2 は58 歳,男性.症例1 と同様にRAAA と診断され転送待機中に急変,大動脈遮断が施され当院に緊急搬送された.緊急手術により救命できた.症例3 は70 歳,男性.RAAA と診断されたのち,急変したため大動脈遮断が施されたが,ショック状態から離脱できず.当院搬送時,血圧測定不能であり,手術室で再遮断,心肺蘇生を継続したが救命できなかった.循環動態の破たんしたRAAA に腎動脈分岐下の大動脈遮断を行い手術が可能な施設に転送する方法は有用であることが示唆された.

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