日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
遺残坐骨動脈急性閉塞に対し,血栓除去およびバイパス術を施行した1 例
在國寺 健太澤崎 優泊 史朗今枝 佑輔
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2015 年 24 巻 1 号 p. 22-25

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抄録
要旨:遺残坐骨動脈は稀な血管奇形であり,その発症頻度は0.01~0.06%と報告されている.今回遺残坐骨動脈急性閉塞による下肢虚血に対して血行再建術を経験したので報告する.症例は62 歳女性.突然の右下肢痛後に間歇性跛行が出現し,発症後2 日に近医を受診され右下肢急性動脈閉塞の診断で当院紹介となった.来院時,右下肢は膝窩動脈以下の拍動が消失し冷感と蒼白を認め,Ankle brachial index(ABI)は0.62 と低下していた.下肢造影CT では右浅大腿動脈は低形成で,坐骨孔付近で閉塞した遺残坐骨動脈を認め,側副路を介して下腿分枝が描出されていた.保存的加療で300 m 程度の連続歩行が可能となったが間歇性跛行は継続し,発症後13 日に右膝上部膝窩動脈から下腿への血栓除去術および右総大腿動脈-膝上部膝窩動脈バイパス術を施行した.術後経過は良好で,術後ABI は1.07 まで改善し間歇性跛行は消失した.
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